変更履歴
23.4.4 公開。「ジャッジ・リプレイ(#6)(同日AM6:00公開)」は見てない
23.4.5 間違ってる箇所を訂正しました(赤字の部分)
23.4.8 ジャッジ・リプレーの動画・記事を追加
問題のシーン
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— Jリーグ(日本プロサッカーリーグ) (@J_League) 2023年4月2日
ピンチの後にチャンスあり
\#岡田慎司 選手のファインセーブからカウンター!
逆転ゴールを狙います@naraclub_info pic.twitter.com/VHFOVIX5JX
前提
青がFC今治、白が奈良クラブの選手
今治のコーナーキック→奈良クラブGKがセーブ→カウンター
後半88分で同点
FC今治の選手は全員奈良クラブ陣内にいる(GK以外、カメラに全員映ってる)
プレー解説
GK・15岡田がセーブ。ゴールかの判定は微妙。
この時点で今治19パク・スビンだけが自陣(手前側)を向いてる。
プレーに絡むのは、囲った3名。
7桑島、19酒井達磨、今治19パク・スビン
酒井達磨は、セットプレーでは高い位置に。
速攻要員なので、真っ先にスタートします。
この時点で、パク・スビンと同じ位置。スプリント勝負だ。
追記(23.4.5)
今回はオフサイドラインがない(今治選手が全員敵陣にいる)ので、
すぐにボールを出せばオフサイドなし。
パスの瞬間に達磨が敵陣にいれば、オフサイドになる可能性があります。
その場合、パク・スビンとの位置関係が問題に。
今治の選手が副審(画面右側に見切れてる)を向いてアピールしてる。
15岡田・8堀内がカウンターアタックの方向を指示。
そして7桑島が反応。
大きく”あっち”を指さしてるのが8堀内。
1コマ前はどこで何をしているか?上にスクロールしてご確認ください。
判断が速くて正確。
15岡田がアンダースローで転がします。
まだ副審を向いてるやつが多すぎる。
中は酒井達磨がパク・スビンと1:1。
通ればビッグチャンス。
奈良クラブの選手は誰もついてきてない。
桑島は前向きのプレー(マーク2人の間を抜くスルーパス)を選択。
2人の間は空いてるし、2人とも背走しててボールにちゃんと対応できない。
通った。
達磨の奥、バックスタンド側。ボールを確保できそう。
相手GK・31セランテスが出てきた。
達磨は開いてボールを回収(パスはちょうどいい強さか、少し弱かった)。
この位置をよく覚えておいてください。
19酒井達磨、31セランテス、19パク・スビン
達磨が先にボールタッチ。
キーパーを交わしたらゴールがガラ空きだ。
ボールタッチで交わした瞬間
ファールの瞬間。
30セガンテスがアフターで手を使って止めて、倒した。
ラフプレーだけでイエローが出ます。
レッド・イエロー
DOGSO(=Denying an Obvious Goal Scoring Opportunity」
決定的な得点機会の阻止であれば、レッドカードです。
D=Denying(阻止する)
O=Obvious(決定的な)
G=Goal S=Scoring(得点する)
O=Opportunity(機会)
判断基準としては4要件(実際は5要件)。
1 反則とゴールとの距離
2 全体的なプレーの方向
3 ボールをキープできる、またはコントロールできる可能性
4 守備側競技者の位置と数
ファールと得点機会との関係が問題なので、
反則の悪質性(ラフプレーの度合いが酷い)は関係ないです。
ラフプレーでない戦術的ファールがイエローになるのと
(ラフじゃない=通常のファールのはずだ)と同じ関係です。
DOGSOの4要件の適用
1~3は概ねOK(90~100%)。4が?です。
1 反則とゴールとの距離
相手陣内、ボックス手前なので100%OK。
2 全体的なプレーの方向
相手キーパーを抜いたタイミングでは、ゴールでなくコーナー方向に向いてる。
人によっては80%くらい。
3 ボールをキープできる、またはコントロールできる可能性
先にボールタッチしてて、ボールに追いつけばキープできる状態。
100%OKか悪くても90%くらい。
4 守備側競技者の位置と数
相手19パク・スビンが、達磨とゴールの間にいる。
この評価は分かれる。正直どっちでも正解。
・守備者がこの場所にいるのを重視→レッドでない
・守備者はフィールドプレーヤー、キーパーではない。
ディフェンダーが同じ事をしたときとは重大性が違う→レッド
7:3でレッド相当
レッド相当だけど、30%の確率でイエローだと感じました。
現役レフェリー、レフェリー好きの人でも
レッド/レッド寄りのイエロ-(=100%イエローではない)という人が多いと思います。
ファールの瞬間、赤が主審・副審。
ファールの存在、プレーヤーの位置関係は、主審・副審両方から見えてます。
審判の位置関係の問題で「現場が見えてない場合」もある。
現象を見落としたなら、ミスジャッジ。
見えてて別の判断をしたなら、解釈の違い。
イエロー判定に不服な人は多いでしょうが、今回は解釈の問題です。
ファクトは(おそらく)正確に把握しています。
「審判がそう言うなら仕方がない」
「直後のフリーキックで点を取らなかった方が悪い」
ジャッジリプレーの判断(23.4.8追加)
クリックすると、該当部分(FC今治vs奈良クラブ)に飛びます。
結論はこんなの。
・DOGSOでレッドカード
・キーパーがいない=「ゴールがらあき」という判断
・酒井達磨のトラップはゴール方向へ。コントロールできてる
・主審のポジショニングが悪い
動画の要約記事。
まとめ
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— Jリーグ(日本プロサッカーリーグ) (@J_League) 2023年4月2日
ピンチの後にチャンスあり
\#岡田慎司 選手のファインセーブからカウンター!
逆転ゴールを狙います@naraclub_info pic.twitter.com/VHFOVIX5JX
何度見直しても、面白いシーンです。
面白かったので3時間くらいかけて1本の記事にしました。
(今治旅行記は別の機会に)
カードの色、得点の有無、勝敗はもちろん大事だけど、
細かい判断をすべて正解・成功させ、決定機を作り出した選手達に拍手です。
年に1回の鮮やかな攻撃。できれば決めたかった。
19酒井達磨
CFであんだけ削られてて88分に全力スプリント&キーパーを交わした
あのシーンの達磨、凄いんですよ。本当に。
ゴールを決めるよりずっと難しいかもしれないプレー。すごいすごい。
15岡田慎司
シュートブロック(後述)も最高。速攻を選択したのもボール出しも最高。
一連の速攻は、岡田がすぐ立ち上がって前を向いてるのが前提。
それ以上にすばらしいのが、チーム全体の意識。
後半のFC今治の猛攻。しのいでしのいで、最後の大ピンチを乗り越えて
最後までチーム全体で攻める姿勢を貫く。格好いい!
8堀内颯人 桑島を指さして指示した
堀内の明確な指示がないと成立しません。
判断が速くて正確。ほとんど動いてないけど、最高のプレー。
7桑島良汰 速攻への反応が早い。スルーパスも絶品
地味だけどあのスルーパス、結構難しいぞ。
決まってたら、岡田・桑島への試合後の拍手はなかった。
大ブーイングで今治を去ってた。
あと、今治19パク・スビン。
真面目に戻って、中を絞って達磨を外へ追い出した。
キーパーが達磨と1:1になった時点でも位置取りが◎。すばらしい。
というかこれが普通や。
抗議してた人間があと1~2人戻ってたら、すべてが解決してた。
ゴール・ノーゴールの判定は覆らないのに、なんでそこを頑張るの?
そういうとこやぞ。そういうとこ。
おまけ:ゴール・ノーゴールの判定
「今回のカメラアングルでは分からない」が答えです。
ラインの内側にボールが完全に入ってるか。
真横から見て、ゴールポストとボールの間に何か見えるか…で判断します。
ゴールの最終決定は主審(左の丸)がしますが、
ボールが完全に入ってるかは判断できないので、
副審(右の丸)の判断を(ほぼそのまま)採用します。
左側(青の選手:隠れてる)がシュートを打った選手、
右は加藤徹也(オフサイドの基準)です。
副審はオフサイドラインの線上にいるので、
ゴールライン上には立ってません。(×ゴールラインと並行には、から訂正:23.4.5)
サイドライン上、2mくらい手前の位置にいます。(赤字部分を追記:23.4.5)
この絵の真ん中/右側のボールを、副審は右下から(斜めに)見てます。
その場所から「ボールがゴールラインに完全に入ったか」判断をします。(23.4.5追記)
「本当にそれで分かるのか」と言われると
「ずっとそうやって判断してきた」「そういうもんなんだ」という回答です。
自分の席からは、こういうアングル。もっと分からない。
毎回、ゴールラインの線上からゴール判定をしてるわけじゃありません。
もしゴール・ノーゴールの判断をするなら、
真横からの映像が別に必要です。今回のDAZNの映像(赤字部分:23.4.5追記)では分かりません。
「ミスジャッジが明らかだ」と判断する、別の証拠が出てこないので
審判の判定「ノーゴール」が正解。
おしまい。