得点シーン
奈良のスローインから。宮崎10が×のあたりでインターセプト、ゴールを決めます。
膠着状態のまま後半87分。お互いに引き分けを意識してました。宮崎から見れば敵陣、一か八かのプレー(インターセプト狙い、失敗しても影響が小さい)を狙える場面です。
スローインの受け手は20國武だけ
次にパスを出すなら、33佐藤か6中山。インターセプトを狙えますよね。
(宮崎10井上怜)
パスを出した選手(注:20國武)がセンターバック(注:5鈴木)の裏に出して来るだろうなと読んでいました。(略)パスが出る前に自分はすでに走り出していると思います。相手が疲れてきている時間帯だったので、そこを狙っていこうという意識がありました。:()内は筆者が補足
チーム全体で「残り数分をどう戦うのか」が共有できていなかった結果です。
「絶対勝つ」なら、このペースでボール回ししてちゃダメですし、「引き分けでOK」なら、失点を防いで時間を稼ぐのが最優先。最終ラインが数的同数のままじゃ、一人がミスすると大ピンチです。芝が悪く、パスミスが多発するスタジアムなら尚更です。
パスミスをした選手はもちろん反省しないといけませんが、これは選手の配置の問題。指示を出して、修正しないのが悪い。責めるなら監督とディフェンスリーダーです。試合後、ミスした選手を責めるコメントが(監督・選手はもちろんサポーターからも)なかったのは大変健全だと思います。もう一度どうぞ。
試合展開
— acl (@yikc3760) 2025年5月9日
宮崎は元からボールを持つ気がないし、今日は積極的に攻めてくるか。相手が引いて守るなかで1点をどうやって取るか。
中2日。メンバーを入れ替えながらどう戦うかがポイントです。前節も先発出場した選手を網がけにしてます。奈良は9枚替え、宮崎は3枚替え。
奈良はターンオーバー、宮崎は主力をそのまま起用。奈良が走って、宮崎を動かして、終盤勝負。そういう狙いと思っていましたが、相手に付き合ってしまいました。
奈良クラブは、SBがどちらも連戦です。前節、40吉村はフル、32ユは86分出場。サイドは消耗が激しいのに、メンバーが手薄。早く都並が戻ってきて欲しい(都並は左右両方できる)。
前半。宮崎がボールは相手に持たせて、442で引いて守りました。442ブロックの崩し方…541ブロックほど難しくはないですが、基本は3つくらい。つり出す、左右に振る、裏狙い。前半は2左右に振るを、後半は2左右に振る、3裏狙いの併用でした。
(画面に向かって)左右に動かすのが釣り出しです。奈良の4バック相手に442で守ると、2(フォワード)がボールを追いかけてきます。前の6人を左に、残りの4人を9酒井11百田28川井で釘付けにして、ライン間を空ける。それか10人全員を左に引っ張って、裏を狙う。
相手が本当に出てくるのか、動かしても陣形が崩れるのか、こっちの中盤の選手がどれだけ崩せるか、あたりがポイントです。
一つ良いシーンがありました。前半15分。
(映ってないシーン:キーパー→40吉村へロングボール→失敗→キーパーまで戻す→相手が出てくる)→33佐藤→28川井がライン間で受ける→11百田→70川谷→シュート。決まっていれば年間ベストゴールに入るような、いい崩し方、攻め方でした。
33佐藤、5鈴木ともビルドアップは上手なので、96マルクではなく、そちらから配球したんだと思います。キーパーからのフィードは警戒されてました。もう一度どうぞ。
ちなみに、これが前半唯一のシュートです。誘っても出てこないなら、相手の陣形はそのまま。一度キーパーまで戻してやっと「釣られてくれる」っけど、ハーフウェーライン前後でボール回すだけになってしまった。
「スライド」は左右の4人を横に伸ばす作業で、「引き出す」が「3列」を前後に伸ばす作業です。こういうパスを何度も見ましたよね?失敗でした。宮崎は対策済みで、スライドが早かった。
(14中島賢星)
今日は相手に疲労している様子が見えたので、サイドに動かしてさらに疲労させようと考えていました。動かすことはできても、そこから中に進入していくことは物足りなかったなと思います。
【公式】奈良vs宮崎の試合結果・データ(明治安田J3リーグ第12節:2025年5月6日):Jリーグ公式サイト(J.LEAGUE.jp)
相手は疲れてるんだから、走って、動かして、反応できない選手を狙って…というのが基本です。誰かが仕掛けて相手の配置を乱さないといけないんですが…特に前3枚(9酒井、11百田、28川井)が機能しません。動かない、動けないんなら、ターンオーバーで起用した意味がない。現地で見てて「そりゃ交代やろ」と思いましたし、他のお客さんも同じ感想だったと思います。
9酒井と28川井が「ロングボールを納める」力があるので、33佐藤→9酒井、5鈴木→28川井へ対角のパスを出すんだと思ってました。スライドと裏狙いの併用です。これはかなりの高スキルがないとできません。やらなくても仕方がない。
前半は28川井を起点に攻めてましたが、39下川(トイメン)が載ってこなかったのと、仕掛ける意識がなかった。後半は左サイド(24松本)狙いに切り替えた(96マルクから17田村翔太、23岡田優希へロングボール)ので、相手が交代するまでは優勢でした。
— acl (@yikc3760) 2025年5月9日
このシュート3本が唯一の得点機でした。ずっとボールを持ってて(保持率65%)攻めあぐねる、見たことのある風景です。
感想
この試合は面白くなかった。勝敗がどちらでも、負けても負けたなりに、0-0引き分けでもそれなりに見どころがあります。今日は得点シーンもしょうもない。誰も見に来てなくてよかった。今日が初めてのサッカー観戦だったら、もう来てもらえない。
4バック、ボール保持に切り替えて、「ボールを後ろに戻せ」の指示が目に付く。確かに運動量重視から切り替える時期だけど、攻撃が軽視されてないか。
主力と控えの力の差が大きい。5~6月でカップ戦も終わる(たぶん)し、サブメンバーはそろそろ結果を残さないと。
32ユ・イェチェン。前節鹿児島戦がほぼフル出場(86分)で、中2日なので交代も視野に入れての起用。途中、トレーナー(日本人)から「足は大丈夫か」と聞かれて「OK」を出した2分後に足が攣って交代。ベンチの交代策が代わり(14中島を下ろす予定が10山本になった)、1人少ないまましばらく戦うことになった。疲労を考慮しての交代策なんだから、正直に言ってくれ。
収穫は10山本宗太朗。近く、リーグ戦でベンチ入りできるでしょう。あとは70川谷の空中戦もよくなりました。